皮膚の変色や発疹

他の子と比べて、色黒な気がする・・・

他の子と比べて、色黒な気がする・・・

子どもでも、こんなにソバカスはできるもの?お子さんの肌の色について、様子を見て良いものなのか、そうではないのか、判断が難しいし不安になりますよね。

赤ちゃんや子どものお肌に「色素沈着」が見られるときの、原因や受診の目安を解説します。

考えられる原因・病気は?

考えられる原因・病気は?

赤ちゃんや子どもの皮膚に「色素沈着」が見られる疾患には、様々なものがあります。

ウイルス感染症

よくある原因として、ウイルスの感染症の後に、色素沈着が残るものです。たとえば手足口病は手足や臀部などに水疱ができますが、それが治った後も、しばらくは水疱のあとが色素沈着として残ります。

個人差はありますが、数週間〜数ヶ月経てば気にならなくなる場合がほとんどです。麻疹(はしか)も全身に発疹がでる感染症ですが、やはり治りかけのときに色素沈着となり、しばらく残ります。

潜在性二分脊椎

また生まれつき「お尻の割れ目」が少し曲がっていて、かつ、その場所に色素沈着など皮膚の変色がある場合は「潜在性二分脊椎」という病気も疑われます。お腹の中にいる胎児のときに、脊髄や神経が正常に作られない病気です。

他にも、割れ目が歪んだ場所に、毛が生えていたり、盛り上がったり、逆に凹んでいるなどの場合も、この病気を考えます。

新生児一過性膿疱性メラノーシス

同じく赤ちゃん、特に新生児(生後1ヶ月まで)の時期に見られる色素沈着の病気として「新生児一過性膿疱性メラノーシス(Transient neonatal pustular melanosis,TNPM)」というものもあります。赤ちゃんの全身に色素沈着ができたり、にきびのような嚢胞が多数できたりする病気です。

遺伝的な原因

またいずれも稀ですが、遺伝的な原因が考えられている疾患も、色素沈着を生じるものがあります。「先天性角化異常症」では爪が萎縮し、口の粘膜が白くなり、身長が伸び悩むような様々な異常とともに、皮膚が網状に色素沈着を生じるのが特徴的です。

色素失調症」も生後数ヶ月までの、早い時期に発覚することが多い病気です。生後2週間以内に、小さな水疱などが手足にでき、その後数ヶ月かけて、その部分が色素沈着(うずまき状になることが多い)と変化していく病気です。

ほかにも歯や髪の毛にも異常をきたします。「ポイツ・ジェガース(Peutz-Jeghers)症候群」では、赤ちゃんの頃から唇や指の先端に小さな色素沈着があり、消化管ポリープやポリープによる出血などから診断に至ることのある病気です。

幼児期や学童期に発覚する病気

生まれてすぐではありませんが、幼児期や学童期などに発覚する、色素沈着を引き起こす疾患もあります。

ファンコニ(Fanconi)貧血」は身長が伸び悩んだり、骨が変形したり、出血しやすくなったりという様々な症状の1つに、皮膚の色素沈着が見られます。

また、ホルモンの異常で思春期の時期が早まりすぎてしまう「思春期早発症」では、たとえば8歳未満で陰毛が生えたり、脇毛が生えたりするとともに、外陰部(陰唇)が黒ずむなどの色素沈着が見られます。乳輪に色素沈着が見られ、さらに乳房も発育してくる場合もやはりこの病気を疑います。

先天性副腎過形成症

上記以外にも、特に生まれてすぐ、あるいは生後数ヶ月以内にわかることが多い「色素沈着」の原因として先天性副腎過形成症があります。

これは副腎という、腎臓の上の小さな臓器に異常がある病気です。副腎は様々なホルモンを作っているため、症状も多岐にわたります。男性ホルモンが過剰になることなどで、全身が浅黒くなる色素沈着、また乳輪・口唇・腋窩(わきの下)・外陰部(陰嚢や陰唇)などにも黒色の色素沈着を起こします。

そのほか、染色体としては女の子なのに、外性器が男の子のようになってしまったり、毛深くなったり、身長が伸びづらくなったり、またウイルスなどの感染症にかかった際に、意識障害など重い症状を起こしたりする副腎クリーゼにも注意が必要です。

先天性副腎過形成症は、通常、生まれたときの外性器の様子や、また新生児マススクリーニングという血液検査で、生まれてすぐ発見されることが多いです。ただし全てのタイプの先天性副腎過形成症がスクリーニングできるわけではないので、出生後少したって、自宅で症状に気づいて発覚することもあります。

受診は何科?受診の目安は?

受診は何科?受診の目安は?


受診の目安と受診科

全身のどこかの皮膚が、異常に黒ずんでいる、色素沈着のように見られる、という場合は、まずは小児科を受診してください。通常は個人差の範疇など、病的なものではないことが多いのですが、中には先天性副腎過形成症のように、ホルモンの異常などが隠れている場合があります。

なお、受診する科は皮膚科でも良いのですが、子どもや子どもの疾患を見慣れていない医療機関も少なくないので、0〜15歳の皮膚症状であれば、まずは小児科に相談いただいて構いません。

参考文献:

小児症候学89 原著第2版, 東京医学社, 2018年

日本内分泌学会

日本小児科学会

日本小児救急医学会

阪下和美、正常ですで終わらせない!子どものヘルス・スーパービジョン、東京医学社、2017年

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