熱もないけど、なんとなく元気がない気がする...母乳やミルクを飲む勢いが、弱くなってきた?不機嫌な時間が、長くなっているかも。これって大丈夫?
子どもの「なんとなく元気がない」様子は、一大事ではないかもしれないとわかっていても、不安になりますよね。
「なんとなく元気がない」場合に考えられる原因や、受診の目安などを解説します。
赤ちゃんや子どもの「なんとなく元気がない」原因は、様々なものがあります。
よくあるのは、感染症に伴うもの。子どもは大人と比べると、鼻水や咳の風邪(ウイルス感染症)から中耳炎になりやすいでし、中には気管支炎や肺炎になることも。こうした疾患は、もちろん高熱が出ることもありますが、熱が出る前の不機嫌や、また熱や一度下がったのに元気がない、などの症状を引き起こします。その他、見逃してはいけない感染症として、尿路感染症や髄膜炎、脳炎なども挙げられます。
他によくあるのは、便秘や胃腸炎によって、母乳やミルクを飲む量も減り、血糖値も低くなるなどして、活気がなくなるケースです。
消化管の病気でさらに重いものだと、腸重積やHirschsprung(ヒルシュスプルング)病などもありますが、通常は、繰り返す嘔吐や、便が病的に出ないなど、「元気がない」以外にも症状が現れることが多いです。
また頻度は低いですが、血液の病気(白血病や、血小板異常による頭蓋内出血など)、筋肉や神経の疾患、心不全(心筋炎、不整脈)、骨折、生まれつきの染色体異常による疾患なども、活気不良を引き起こします。
子どもが「なんとなく元気がない」ときに考えられる原因は多岐にわたりますが、中には「先天性代謝異常症」といって、体の機能を司る様々なホルモンや酵素に異常があるため、体重が増えづらい病気のグループがあります。いろいろな疾患が含まれていますが、先天性代謝異常症で最も多い病気に「先天性甲状腺機能低下症」があります。
これは生まれつき、何らかの理由で、甲状腺から出ているホルモンの量や働きが適切でないため、体に様々な症状を引き起こす疾患です。生まれてすぐ気づかれやすい症状としては、⻩疸が長引くこと、便が出ない、臍ヘルニア(いわゆる「でべそ」)、体重の増えが悪い、さらに「泣き声が弱い」「なんとなく活気が悪い」というものが挙げられます。
「先天性甲状腺機能低下症」は、基本的には、生まれてすぐに受ける「新生児マススクリーニング」という血液検査で発見されることが多いです。ただし病気の程度が様々なので、マススクリーニングでひっかからなかった場合でも、生後数ヶ月かけて徐々に症状が進行して発見される場合もあります。
「なんとなく元気がない」場合は、ほとんどはウイルスの感染症などであり、緊急で受診しなければいけないケースは多くはありません。ただし活気がないために、母乳やミルクの摂取量が減ってしまったり、嘔吐が続くなど他の症状が目立つ場合は、受診が必要です。
このような状態が見られる場合は、小児科の受診を検討してください。
参考文献:
笠井正志ほか、HAPPY!こどものみかた2版、日本医事新報社、2016年
東京都立小児総合医療センター、帰してはいけない小児外来患者2 子どもの症状別 診断へのアプローチ、医学書院、2018年
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