風邪をひきやすい

うちの子供よく風邪をひいている…

うちの子供よく風邪をひいている…

せっかく治ってきたと思ったのに、また鼻水がズビズビに...。この2週間、ずっと咳がつづいて治らない。きちんと薬も飲んでいるのに。

お子さんの風邪が治りづらかったり、しょっちゅう風邪をひいたりすると、心配になりますよね。

実は「子どもの咳は、25日目くらいに治まる」という医学的な研究結果があります。長いですよね。1ヶ月近くも咳がつづくと、なにかの病気ではないかと心配になりますが、風邪(ウイルス感染症)における一般的な経過なのです。

こんなにも風邪の咳が長引く理由として、子どもの「気道の過敏性」が高いことが挙げられます。ウイルスの勢いが弱まった後も、子どもの気管や気管支は、まだ過敏性が高い、つまりちょっとした刺激で咳が出やすい状態がつづきます。走った後や運動した後、また寝る前など、気道が狭くなりやすいタイミングで咳が出やすい状態がつづくことが多いです。これは「感染後咳嗽(がいそう)」などと呼ばれ、診察や検査をしても異常は見られません。ガイドラインでも、特別な治療も必要ないとされています。

考えられる原因

ウイルス感染

咳を起こすほとんどの原因は、風邪(ウイルス感染症)です。ほかにも咳が急にひどくなったという場合には、クループ症候群や、気管支炎・細気管支炎・肺炎なども、まずまずの頻度でみられます。

誤飲のリスクが高い生後6ヶ月〜2歳ころまでは、誤飲によって気管に異物が入りこむことでも、咳がつづくことがあります。なおアナフィラキシー症状といって、全身にアレルギーの症状が出る(皮膚の赤み、嘔吐など)場合でも、咳が出ることがあります。

ずっと咳がだらだらと続いているという場合も、実はやはり風邪(ウイルス感染症)が原因になることが多いのです。正確には「感染後咳嗽」といって、ウイルスの勢いが弱まったあとも、子どもの気道の過敏性が高い状態がつづくことで、咳が長引いてしまう状態です。もともと喘息のお子さんは、まさに気道の過敏性がずっと高い状態がつづいているので、さらに長引きやすいです。

細菌

ウイルスでなくとも、百日咳やマイコプラズマ、結核といった菌が引き起こす感染症でも、慢性的に咳がみられます。

アレルギー性鼻炎

他に頻度が高いものとしては、アレルギー性鼻炎もあります。子どもでも多いと約30〜50%ほどが何らかのアレルギーによる鼻炎を発症しているといわれており、慢性的に鼻水や、鼻水のたれこみによる咳が生じます。

胃食道逆流症

また特に1歳になっていない乳児のお子さんでは、胃食道逆流症でも、咳がでることがあります。赤ちゃんは、胃と食道をつなぐ筋肉がまだゆるいため、胃に入った母乳やミルクが、食道から口に逆流うしてくることがあります。そのときに咳が出ることがあります。

先天的な奇形

また頻度は多くないですが、気管に血管が巻き付いている、といったような、先天的な奇形による咳もみられます。

ワンポイント

また鼻水についても、最初はサラサラしていたものが黄色く粘っこくなると、悪化したのかな?と心配になりますよね。ただし、これは正常な風邪(ウイルス感染)の経過の一つであり、免疫が機能しているサインでもあります。ウイルスが含まれる鼻水に、白血球がきちんとたどりつき、ウイルスと闘っている証拠だからです。

鼻水が長引くと、副鼻腔炎(ふくびくうえん)や中耳炎も気になるところです。たしかに鼻水がだらだら続くと、急性副鼻腔炎になる可能性はありますが、子どもでは8%くらいしかならないとも言われています。また万が一急性副鼻腔炎になったとしても、必ずしも抗菌薬での治療は必要ないとされています。なお鼻水や日中の咳が10日間以上続く場合や、39度以上の発熱などが3日以上続く場合などは、抗菌薬を考慮します。

一方で中耳炎はもっと頻度が高く、多いと60%ほどの子どもがなると言われています。治療としては、中耳炎で発熱や痛みがある場合は、抗菌薬での治療が必要になります。特に生後6ヶ月から2歳までは、子どもはよく中耳炎になります。ただし適切に治療しているのに、なかなか治らなかったり、中耳炎を何度も繰り返したりすると、免疫が適切に機能しない「原発性免疫不全症」という病気を疑うこともあります。

考えられる病気は?

原発性免疫不全症

考えられる病気は?

一般的な風邪(ウイルス感染症)でも、咳や鼻水は長引くものです。ただし咳だけでなく血痰が出たり、長引く鼻水によって中耳炎を反復する場合は、免疫機能の病気である「原発性免疫不全症」を疑うこともあります。

原発性免疫不全症を疑うサインは複数ありますが、代表的な症状には「1年に2回以上、肺炎にかかる」「重症副鼻腔炎を繰り返す」「抗菌薬を飲んでも、2ヶ月以上、感染症が治らない」などが挙げられます。

特に赤ちゃんの場合は、感染症を繰り返す、また感染症の治りが異常に遅いことで、体重が増えなかったり、発達に異常がみられたりすることでも、原発性免疫不全症を疑います。また原発性免疫不全症には遺伝性の因子もあるので、家族や兄弟ですでに原発性免疫不全症が疑われていたり、診断されていたりする場合は、その子どもも原発性免疫不全症の可能性を考えます。

気管支拡張症

また「気管支拡張症」という病気も、長引く咳の原因になります。

もともと気道に先天的な奇形があったり、気管支炎や肺炎を繰り返したりすることで、発症する病気です。咳だけでなく、血の混じった痰が出ることもあります。

なお、そもそも気管支炎や肺炎を繰り返すおおもとの原因として「原発性免疫不全症」があります。つまり「原発性免疫不全症」の子どもが、途中で「気管支拡張症」を併発することもあるのです。

受診は何科?受診の目安は?

受診の目安

受診は何科?受診の目安は?

子どもの鼻水や咳が長引く原因として多い「感染後咳嗽」では、特別な治療法はありません。受診しても薬はもらえないこともありますし、一般的な風邪薬を飲んでもあまり効果がみられないことも多いです。数週間や1ヶ月ほど経過すれば、徐々に症状は軽くなり、乗り切れる場合がほとんどです。

一方で「飲む・食べる」「寝る」に支障が出るほど、鼻水や咳がひどいときには、受診が必要です。具体的には、取った水分を咳で全部吐き戻してしまう、呼吸が苦しそうで寝られない、などです。そのほか発熱(38度以上)が3~4日以上続く場合や、「起きているのに、尿が数時間に1回も出ない」場合は脱水が疑われるので、受診を検討してください。

受診科

お子さんにどんな症状があっても、0歳から15歳であれば、まずは小児科を受診して間違いありません。

一方、中耳炎が心配なので耳をしっかり見てほしいという場合は、耳鼻科がおすすめです。なお機械で鼻水を吸う「鼻吸い」は、小児科でも耳鼻科でもやっているところはありますが、科というよりは医療機関によって異なります。希望する場合は、医療機関に直接確認してから行きましょう。


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