第1弾は、独立行政法人国立病院機構 岡山医療センター(以下、岡山医療センター)の古城先生に
「早期発見・治療の大切さ」を中心にお話を聞いていきたいと思います。
岡山医療センター・小児科医の古城真秀子(ふるじょうまほこ)です。主に、先天性代謝異常症、小児内分泌疾患の診療を行っています。
先天性代謝異常症は、生まれつき体の物質の代謝に異常があり、様々な症状を引き起こす病気です。遺伝性の病気のため、生まれてすぐ新生児マススクリーニングで一部の病気を調べることができます。
小児内分泌疾患は、生まれつき、または成長の過程で、体内のホルモンのバランスが崩れる病気です。例えば、身長が伸び悩む、思春期が早すぎるなどの症状は、骨の強度が弱くなり、早くに思春期が終わることで低身長となってしまう可能性があります。病気によって症状は様々ですが、子どもの発育を阻害する可能性が高まります。
生まれたばかりの赤ちゃんでも、症状が出ていない場合があります。しかし、放置するとほかの臓器にも症状が現れ、重篤状態になる可能性があります。早期に診断・治療を開始することで適切な治療を行い、予後が改善される可能性があります。
以前、指定難病に登録されている病気の子たちを治療する機会がありました。その中でも、ムコ多糖症Ⅵ型(※)という病気の患者さんは、早い時期から治療を開始した例があります。兄妹で発症して治療を行った結果、現在、お兄さんは、就職をして元気に働くことができています。また、妹さんは、生後間もなくして治療を始めたので、聴力は正常範囲内を保ち、現在は学生として生活を送ることができています。
※ムコ多糖症Ⅵ型:ライソゾーム病の1つで、先天性代謝異常症に分類される病気
新生児マススクリーニングとは、生まれたばかりの赤ちゃんに、特定の病気がないか調べる検査です。生まれたばかりの赤ちゃんから少しだけ血液を採取し、検査を行います。
このタイミングで病気を見つけられると、症状が出る前に治療を開始することができます。
ただし、マススクリーニングの検査も100%ではありません。ゆっくり進行する病気などは、初期の段階で発見・診断することが難しい場合もあります。
「検査を受けたから大丈夫」ではなく「検査を受けても、もしかしたら病気かもしれない」と思っていただきたいです。
最後に、古城先生にQ&A方式で「このような場合どうしたらいい?」という質問にご回答いただきます。
※あくまでひとつの考え方をお答えいただいています。必ずしも以下の方法が推奨されているわけではありませんので、ご注意ください。
A.まずは、かかりつけ医に相談しましょう。医師に相談することで、必要な検査や紹介状などを通して診断、治療に繋ぐことができます。
A.保育園なら保育士、学校だと養護教諭に相談をするといいかもしれません。
また、最近は、ネットで検索をして情報を得ることもあると思います。その場合でも、「この病気かな?」と思った時点で、医療機関を受診するようにしましょう。
A.保育園や学校など、集団の中にいると子供の異変に気付く場合があります。子供と接する職業の方が、もしこのような状況に遭遇したときは、「最近の様子が違うので、注意してみてあげてください」というニュアンスで、親御さんに伝えてもらうといいかもしれません。
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独立行政法人国立病院機構 岡山医療センター
小児科 医長
古城 真秀子 先生
インタビュー・作成
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